病人だけど考える人

ニュースとか医療についての日記

精神科医・夏苅郁子

 この人が10歳の頃、母に統合失調症の症状が出た。優しかった母が、独り言をぶつぶつ言うようになり、夜になると「腹が立って仕方がない」と、険しい表情で、家中をぐるぐる歩き回るようになった。だから、母の目にとまらぬよう、布団の中で息を潜め、寝たふりをしていた。


父も、家庭を顧みず収入を家に入れない人だったので、転校先の学校で以前の制服を着て新しい学校へ行ったら、クラスの子からのいじめにあうようになった。いじめっ子を見返す一心で勉強して浜松医科大学へ入学したが、大学へ入ると反動が来た。2度の自殺未遂をする、摂食障害も抱えてしまう。


>精神科医になったのは、お母さんの病気を治そうと思ったからですか?
と聞かれることがある。そうじゃない。彼女自身が精神的に病んでいた時期があって、自殺未遂で収容された病院に、わざわざ大学の精神科の教授が往診に来られた。 


ちょうど、方向を決める時期でもあったので、私が面倒をみてやるから、私のところに来なさいと言われて精神科に入った。こんなことを話したら、精神科医として失格と言われるかも知れなと思って、今まで黙っていたそうだ。


・・・この話、結構面白いけど、長くなるので、続きはまた明日。